レベルソ誕生90 周年に際し、ジャガー・ルクルトは、長年続いてきた東洋と西洋文化の交流を祝し、葛飾北斎の『下野黒髪山きりふりの滝』を、精巧な七宝細密画で写した「レベルソ・トリビュート・エナメル」を発表した。
下野黒髪山きりふりの滝
ヨーロッパのクラフツマンシップと日本の技が融合したケースの裏側は、葛飾北斎が1830 年代初めに制作した『下野黒髪山きりふりの滝』の木版画を忠実に再現したエナメル細密画だ。『下野黒髪山きりふりの滝』は、1831~1833 年にかけて日本の本州の各地を北斎が訪れて名瀑を描いた8 枚揃いのシリーズ木版画『諸国瀧廻り』の中の1 枚である。
波模様のギョーシェを施したグラン・フー・エナメル文字盤

ケースバックの細密画の芸術性に呼応する表ダイヤルには、流れる水の効果を表現するために選ばれた珍しい波模様のギョーシェ彫りが施された。特定のパターンを作り出すために特殊なカムが付属した1 世紀前の旋盤を使用して手作業で作られたこの波状の視覚効果は、裏面の細密画のディテールに見合った柔らかなグリーンカラーが何層にも重ねられた透明のグラン・フー・エナメルによって引き立てられている。
細密画を描くだけで70時間以上を要する

全てのエナメル加工と同様に焼成工程によって予期しない変色の可能性がある。そのため、レベルソ・ トリビュート・エナメルのダイヤルの色を裏面の絵画と完全に一致させ、なおかつこの絵画を北斎のオリジナルのカラーで忠実に再現するためには、相当な時間を要する。これらの時間に加えて、ほぼ5 時間の作業時間をギョーシェ彫りのみに費やす必要があり、さらにその後、透明のグリーンのエナメル層を作るために8 時間の作業時間が追加される。つまり、ケースバックに細密画を描くだけで70 時間以上の作業時間を要するのだ。